IMEI・PIN・PUKはいずれもSIM・端末セキュリティに関わるコードだが、それぞれ役割が異なる。IMEIは端末の固有識別番号、SIM PINはSIMカードへのアクセスを制御する暗証番号、PUKはPINロックを解除するための回復コードだ。
この記事では、3つのコードの定義・確認方法・違い、そしてPINロックが発生したときの正しい対処手順を解説する。
IMEIとは(端末識別番号)
定義と仕様
IMEI(International Mobile Equipment Identity、国際移動体端末識別番号)は、モバイル端末ごとに割り当てられた15桁の数値識別子だ。3GPP TS 23.003で規定される国際標準であり、世界中で同一のIMEIを持つ端末は存在しないよう管理されている。
IMEIの構造は以下の通りだ。
| 桁 | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| 1〜8桁 | TAC(Type Allocation Code) | 端末モデルを識別するコード |
| 9〜14桁 | SNR(Serial Number) | 同一モデル内の個体番号 |
| 15桁 | CD(Check Digit) | Luhnアルゴリズムによる検証桁 |
最後の1桁はLuhnアルゴリズム(ISO/IEC 7812)によるチェックディジットで、入力ミスや不正なIMEIを検出するために使われる。
IMEIの確認方法
電話アプリから確認する(最も簡単)
電話アプリを開き、「*#06#」をダイヤルする。発信ボタンを押さなくても、入力と同時に画面にIMEIが表示される。デュアルSIM端末では2つのIMEIが表示される場合がある。
設定画面から確認する
- iPhone: 「設定」→「一般」→「情報」→「IMEI」
- Android: 「設定」→「端末情報」(または「デバイス情報」)→「IMEI情報」
本体・外箱から確認する
iPhoneはSIMトレイ(ナノSIM搭載モデル)または本体背面(印刷されているモデル)にIMEIが記載されている。端末購入時の箱(外箱)の側面にも記載されている。端末が手元にない場合(紛失・盗難時など)は箱を確認するのが確実だ。
IMEIの主な用途
SIMロック確認・解除手続き
キャリアのオンラインSIMロック確認・解除ページでIMEIを入力して手続きを行う。SIMロックの仕組みと解除手順の詳細は「SIMフリーとSIMロック — 確認方法と解除手順」で解説している。
端末の盗難・紛失時の利用停止申請
キャリアや警察にIMEIを伝えることで、盗難・紛失端末のネットワーク利用を停止する手続きができる。IMEIはGSMAが管理するEIR(Equipment Identity Register)に登録され、ブラックリストに登録された端末は多くのネットワークで通信できなくなる。
海外渡航時のネットワーク対応確認
IMEIには端末モデルの情報が含まれており、利用予定のネットワーク(周波数帯)と端末の対応状況を確認する際に使われる。周波数帯の確認方法については「周波数帯(バンド)とは — 4G/5Gの対応確認方法」で解説している。
IMEIに関する注意点
- IMEIは端末固有の識別情報のため、不特定多数に公開しないことが推奨される
- ソフトウェアによるIMEI書き換えは多くの国で違法行為にあたる
- デュアルSIM端末は通常IMEI1とIMEI2の2つを持つ
SIM PINとは(SIMカード暗証番号)
定義と仕様
SIM PIN(Personal Identification Number)は、SIMカードへのアクセスを制御する4〜8桁の暗証番号だ。ETSI ETS 300 922および3GPP TS 51.011で規定されている。
SIM PINを設定すると、端末の起動時またはSIMカードを別端末に挿し込んだ際に、PINの入力が要求される。正しいPINを入力しなければ、通話・SMS・モバイルデータ通信を含むすべてのSIM機能が使えない。
SIM PINを3回連続で誤入力すると、SIMカードはロック状態になる。このロックはSIM PINでは解除できず、PUKコードが必要になる。
SIM PINの初期値について
SIMカードを契約した際、キャリアによって初期PINが設定されている場合がある。初期PINはキャリアの契約書類や、SIMカードが入っていたパッケージカードに記載されていることが多い。
初期PINのまま使い続けることは避けるべきだ。 0000や1234などの単純な数字は推測されやすく、SIMを悪用されるリスクがある。初期PINは設定画面から変更できる。
SIM PINの設定・変更方法
iPhoneの場合
- 「設定」→「モバイル通信」→「SIM PIN」を開く
- 「SIM PINをオン」をタップしてPINを設定(または「PINを変更」で変更)
デュアルSIM構成の場合は、物理SIMとeSIMそれぞれのPINを個別に設定できる。
Androidの場合
メーカーや機種によって操作画面が異なるが、一般的な手順は以下の通りだ。
- 「設定」→「セキュリティ」→「SIMカードロック設定」を開く
- 「SIMカードのロック」をオンにして設定
SIM PINを設定すべき理由
スマートフォンの画面ロックとの違い
スマートフォンの画面ロック(パスコード・指紋・顔認証)はあくまでも端末本体へのアクセスを制御するものだ。画面ロックが有効でも、SIMカードを取り出して別の端末に挿せば、SIM PINなしには通話・SMS・データ通信が利用できる状態になる。
SIM PINを設定することで、SIMカード単体での不正使用を防止できる。
SIMスワップ詐欺への対策
SIMスワップ詐欺(SIMのっとり)は、攻撃者がキャリアに不正にSIM再発行を依頼し、被害者の電話番号を乗っ取る手口だ。SIM PINはキャリア側での不正再発行そのものを防ぐものではないが、物理的なSIMカードの不正使用に対する防御層として機能する。
PUKとは(PINロック解除コード)
定義と仕様
PUK(Personal Unblocking Key)は、SIM PINが3回連続で誤入力された後にSIMのロックを解除するための8桁のコードだ。ETSI ETS 300 922で規定されており、SIM PINとは独立したコードとして管理されている。
PUKとSIM PINの主な違い
| 項目 | SIM PIN | PUK |
|---|---|---|
| 桁数 | 4〜8桁 | 8桁(固定) |
| 利用者による変更 | 変更可能 | 変更不可 |
| 提供元 | SIMカード出荷時にキャリアが設定 | キャリアが管理・提供 |
| 誤入力の上限 | 3回でSIMロック | 10回でSIM永久ロック |
PUKの確認方法
PUKはキャリアが管理するコードであり、利用者が自由に変更できない。以下の方法で確認する。
キャリアの契約書類から確認する
SIM契約時の書類(SIMカードが封入されていたパッケージ、契約確認書など)にPUKが記載されている場合がある。パッケージ自体に印刷されているキャリアも多い。
キャリアのマイページから確認する
多くのキャリアではオンラインのマイページ(My docomo、My au、My SoftBankなど)でPUKを確認できる。端末が使えなくてもPCやほかのスマートフォンからマイページにアクセスすれば確認可能だ。
キャリアのカスタマーサポートに問い合わせる
電話またはチャットサポートで本人確認を行ったうえでPUKを確認できる。端末が使えない状態でも、固定電話や別のスマートフォンから問い合わせ可能だ。
PUKを入力する際の絶対的な注意事項
PUKを10回連続で誤入力すると、SIMカードは永久に使用不能になる。
この状態は技術的に回復できない。キャリアに連絡しても元のSIMを復活させることはできず、SIMカードの再発行(新規SIM発行)が必要になる。PUKを入力する際は以下を厳守する。
- 推測で入力しない: PUKは必ずキャリアの書類またはマイページから正確に確認してから入力する
- 慎重に入力する: 8桁の数字を一桁ずつ確認しながら入力する
- 入力前に残り試行回数を確認する: 端末によっては残り試行回数が画面に表示される
PINロックが発生したときの対処手順
SIM PINを3回誤入力してPINロック状態になった場合の手順を示す。
ステップ1: 慌てずにPUKを確認する
端末にPUKの入力を求める画面が表示されるが、この段階では入力しない。 先にPUKを正確に確認することが最優先だ。
確認手順は以下の優先順で行う。
- SIM契約時の書類・パッケージを探す
- 別のデバイス(PC・別のスマートフォン)からキャリアのマイページにアクセスしてPUKを確認する
- キャリアのカスタマーサポートに電話し、本人確認のうえPUKを確認する
ステップ2: PUKを正確に入力する
PUKが確認できたら、端末の画面に表示されているPUK入力欄に8桁のコードを入力する。正しいPUKを入力すると、次に新しいSIM PINの設定を求められる。
ステップ3: 新しいSIM PINを設定する
PUKによるロック解除後、新しいSIM PINを設定する。このとき推測されにくい数字の組み合わせを選ぶ。0000・1111・1234などの連続した数字や生年月日は避けることが推奨される。
PUKでも解除できない場合(10回誤入力後)
PUKを10回誤入力した場合、SIMは永久に使用不能になる。この場合はキャリアのショップまたはオンラインでSIMカードの再発行を申し込む必要がある。再発行後は電話番号を引き続き使用できるが、SIMカード自体は新しくなる。
SIMカードの開通でトラブルが発生した場合の対処法は「eSIM・SIMが開通しない — 原因と対処法」で解説している。また、ネットワーク接続ができない場合は「圏外・電波なし — 原因別チェックリストと解決手順」も参照してほしい。
IMEI・PIN・PUKの違いをまとめる
3つのコードの違いを改めて整理する。
| コード | 対象 | 桁数 | 管理者 | 変更 | 失敗上限 |
|---|---|---|---|---|---|
| IMEI | 端末 | 15桁 | メーカーが製造時に割り当て | 不可(書き換えは多くの国で違法) | — |
| SIM PIN | SIMカード | 4〜8桁 | 利用者 | 変更可能 | 3回でPINロック |
| PUK | SIMカード | 8桁 | キャリア | 変更不可 | 10回でSIM永久ロック |
SIMカードそのものの仕組みについては「SIMカードとは — 仕組み・種類・サイズの歴史と選び方」で解説している。
FAQ
Q. IMEIを確認する必要があるのはどんな場面ですか?
A. 主に以下の4つの場面でIMEIが必要になります。(1)SIMロックの確認・解除手続き、(2)端末の盗難・紛失時のキャリアへの利用停止申請、(3)海外でのネットワーク対応確認、(4)端末を売却・下取りに出す際の本体識別です。IMEIは電話アプリで「*#06#」をダイヤルするか、設定画面の端末情報から確認できます。
Q. SIM PINを忘れてしまいました。どうすればいいですか?
A. SIM PINを忘れた場合は、当てずっぽうで試行しないことを強く推奨します。誤入力3回でPINロックがかかるため、確実でないPINは入力しないでください。まずキャリアのマイページまたは契約書類でPUK(PINロック解除コード)を確認し、手元に用意してから対処してください。PINを完全に無効化(オフ)すれば以降は入力不要になります。
Q. eSIMにもSIM PINとPUKはありますか?
A. はい。eSIM(eUICC)にもSIM PINとPUKの仕組みがあります。物理SIMカードと同様に、eSIMのPINを3回誤入力するとSIMがロックされ、PUKでの解除が必要になります。eSIMのPINはiPhoneの場合「設定」→「モバイル通信」から対象のeSIMを選択して確認・設定できます。
Q. 機種変更するときIMEIは変わりますか?
A. はい、IMEIは端末固有の識別番号のため、機種変更(端末を変える)するとIMEIは新しい端末のものになります。電話番号はSIMカードに紐付いているため、SIMを差し替えれば同じ番号を引き続き使えますが、IMEIは変わります。
まとめ / 関連ガイド
- IMEI: 端末ごとに固有の15桁識別番号(3GPP TS 23.003準拠)。
*#06#で確認できる - SIM PIN: SIMカードへのアクセスを制御する4〜8桁の暗証番号。3回誤入力でPINロック
- PUK: PINロックを解除するための8桁コード。10回誤入力でSIM永久ロック(回復不可)
PUK入力時は必ずキャリアの書類またはマイページで正確なコードを確認してから入力すること。推測での試行は絶対に避ける。