iPadでeSIMを使えるのはWi-Fi + Cellularモデルのみだ。設定手順はiPhoneと近く「設定」→「セルラーデータ」→「eSIMを追加」からQRコードをスキャンする(iPhoneとは一部メニュー名が異なる)。ただしiPadのeSIMプランはデータ専用が基本で、音声通話・電話番号の付与はない点がiPhoneとの大きな違いだ。
この記事では、iPadでeSIMを使うための対応モデルの確認・設定手順・旅行eSIMの追加・iPhoneとの相違点を解説する。eSIMの仕組みそのものは「eSIMとは — 仕組み・メリット・デメリット」を参照してほしい。
iPadでeSIMが使える条件
Wi-Fi + CellularモデルのみeSIM対応
iPadには「Wi-Fi専用モデル」と「Wi-Fi + Cellularモデル」の2種類がある。eSIMはCellularモデルにのみ搭載されたeUICCチップを使う技術であるため、Wi-Fi専用モデルにeSIMを追加することはできない。
購入済みの端末がどちらのモデルかを確認する方法は2つある。
- 箱・本体背面の型番を確認する: Cellularモデルは型番に「Cellular」または「5G」と記載されていることが多い
- 設定から確認する: 「設定」→「一般」→「情報」を開き「EID」という項目が表示されていれば、そのiPadはeSIM対応ハードウェアを搭載している
「EID」は32桁の16進数で、eUICCチップ固有の識別番号だ。この番号が画面に表示されない場合は、Wi-Fi専用モデルか、eSIM非対応の旧世代Cellularモデルである可能性がある。Appleの仕様ページ(apple.com/jp/ipad/compare/)では購入前にモデルごとのeSIM対応状況を一覧で確認できる。
eSIM対応のiPadモデル
Apple公式サポートページ(support.apple.com/en-us/118569)で確認されているeSIM対応iPadの世代は以下のとおりだ。
| モデル | 対応世代(Wi-Fi + Cellular) |
|---|---|
| iPad Pro 12.9インチ | 第3世代〜第6世代 |
| iPad Pro 11インチ | 第1世代〜第4世代 |
| iPad Air | 第3世代〜第5世代 |
上記モデルは物理SIMスロット+eSIMの構成に対応している。なお、iPad mini(第5世代以降)やiPad(第7世代以降)も対応世代に含まれるモデルがある。この表は網羅的なリストではないため、正確な対応状況はApple公式サポートページ(support.apple.com/en-us/118569)で確認すること。
eSIM専用のiPadモデル(物理SIMスロットなし)
iPad Pro(M4)とiPad Air(M2)はeSIM専用モデルであり、物理SIMカードスロットを持たない。これらのモデルでは物理SIMカードを挿入できないため、eSIMのみで通信する。
eSIM対応モデルの全一覧と確認方法の詳細は「eSIM対応端末一覧と確認方法」で解説している。
iPadのeSIM設定手順
必要な準備
設定を開始する前に以下の3点を確認する。
- Wi-Fiまたは既存のモバイルデータ通信に接続されていること: eSIMプロファイルのダウンロードにはインターネット接続が必要だ
- キャリアまたはeSIMプロバイダーからQRコード(またはアクティベーションコード)を取得済みであること
- iPad本体がキャリアロックされていないこと: 「設定」→「一般」→「情報」→「キャリアロック」で「SIMの制限なし」と表示されていればよい
QRコードでeSIMを追加する手順
Step 1: 「設定」を開く
iPadのホーム画面から「設定」アプリを起動する。
Step 2: 「セルラーデータ」をタップする
設定メニューの中から「セルラーデータ」(iPadOSの表記。iPhoneでは「モバイルデータ通信」と表示される場合がある)をタップする。
Step 3: 「eSIMを追加」をタップする
「モバイルデータ通信プランを追加」または「eSIMを追加」というメニューを選択する。iOSのバージョンや既存SIMの有無によって表示名が変わる場合がある。
Step 4: QRコードをスキャンする
設定内のカメラが起動するので、キャリアから取得したQRコードをフレームに収める。また、iPadの標準カメラアプリでQRコードをスキャンした際に「モバイル通信プランを検出」という通知が表示されたら、それをタップしてeSIM追加画面に進む方法もある。QRコードが別の端末や印刷物で表示されていない場合(同じiPad上にQRコードの画像がある場合)は、画像を長押しして「eSIMを追加」を選択する方法(iOS 17.4以降)を使う。
Step 5: 「続ける」をタップしてダウンロードを完了する
画面の指示に従って進む。キャリアによっては確認コード(数桁の番号)の入力を求められる場合がある。このコードはキャリアからのメールまたはSMSで通知されている。
Step 6: eSIMラインの設定を確認する
ダウンロード完了後、「セルラーデータ」の設定画面でeSIMのラインが有効になっていることを確認する。複数のeSIMを保存している場合は、どのラインをデータ通信に使うかを明示的に選択する必要がある。
SM-DP+アドレスを手動入力する方法
QRコードが使えない場合(画質が悪い・紙での印刷がない等)は、SM-DP+アドレスとアクティベーションコードを手動で入力することもできる。「eSIMを追加」の画面で「詳細情報を手動で入力」または「アクティベーションコードを使用」を選択して入力する。
iPhoneでのQRコード設定の詳細手順は「QRコードでeSIMを設定する(iPhone)」を参照してほしい。iPadでの操作はiPhoneとほぼ同一のUIで行える。
キャリアのeSIMを追加する(国内プラン)
国内主要キャリアのiPad向けeSIM
NTTドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルの大手4キャリアおよびUQモバイル・ワイモバイル・LINEMO等のサブブランドは、iPad向けeSIMプランを提供している。手続きは各社のマイページまたはキャリアアプリから行い、QRコードが発行される。
国内キャリアのeSIMをiPadに設定する場合、以下の点に注意する。
- iPad向けプランとiPhone向けプランは区別されることがある: キャリアによってはiPad専用のデータSIMプランを提供している。契約時にiPadで使用する旨を確認すること
- 音声通話オプションはないのが基本: iPadには電話機能がないため、通話SIMは不要だ
- 開通(アクティベーション)のタイミング: プロファイルのインストール後、キャリア側の開通処理が完了するまで数分かかる場合がある。開通の一般的な流れは「SIMの開通手続き・アクティベーション」で解説している
MVNOのiPad向けeSIM
IIJmio・mineo・NURO Mobile等の主要MVNOもiPad向けeSIMを提供している。MVNOは一般的にMNOよりもデータプランの月額が低い傾向がある。各社のiPad対応状況と最新プランはSimFinderで「eSIM対応」フィルターを使って比較できる。
旅行eSIMをiPadに設定する
旅行eSIMの追加手順
旅行eSIM(Airalo・Holafly・Nomad・Saily等のプロバイダーが提供)のiPadへの追加手順は、国内キャリアのeSIM追加と同じだ。購入後にメールまたはプロバイダーのアプリ内でQRコードを受け取り、「設定」→「セルラーデータ」→「eSIMを追加」からスキャンする。
旅行中の回線切り替え
複数のeSIMプロファイルをiPadに保存している場合(例: 国内プラン+旅行先プラン)、「設定」→「セルラーデータ」で使用するラインを切り替えられる。旅行中は旅行eSIMのラインをデータ通信に指定し、国内プランのモバイルデータをオフにすることで意図しないローミング通信を防げる。
データ専用であることの確認
旅行eSIMのほとんどはデータ通信専用で、音声通話・SMS機能はない。iPadで旅行eSIMを使う場合も同様にデータ専用での利用が基本となる。SMSを受信したい場合(二段階認証など)は別途iPhoneのSIMで対応する必要がある点に注意する。
iPadで旅行eSIMを使うユースケースとして特に多いのが、海外出張・旅行中のテザリング元として活用するパターンだ。iPadを大容量の旅行eSIMで接続し、iPhoneや他のデバイスへWi-Fiテザリングで共有することで、複数デバイスを1枚のeSIMでカバーできる。データ容量や通信速度はプロバイダーによって差があるため、事前にSimFinder Travelで目的地の旅行eSIMプランを比較しておくとよい。
iPadでeSIMを設定する具体的な手順は、本記事内の「iPadのeSIM設定手順」セクションを参照してほしい。eSIM対応端末の確認は「eSIM対応端末一覧と確認方法」で行える。
iPhoneとの違い
iPadのeSIM利用はiPhoneと共通点が多いが、いくつかの重要な違いがある。
| 項目 | iPhone | iPad |
|---|---|---|
| 電話番号 | 付与される(音声SIMの場合) | 付与されない(データ専用が基本) |
| 音声通話 | 対応(eSIM経由でも可) | 不可(電話アプリが存在しない) |
| SMS受信 | 対応 | 不可(携帯番号でのSMS) |
| デュアルeSIM | iPhone 13以降・SE(第3世代)が対応 | 対応状況はモデルによる(下記参照) |
| 主なeSIM用途 | 国内メイン回線・旅行eSIM・デュアルSIM管理 | データ通信専用(Wi-Fi補完・旅行先データ) |
iPadのデュアルeSIM対応状況
iPhoneではiPhone 13シリーズ以降が2つのeSIMを同時に有効化するデュアルeSIM構成に対応している(「デュアルSIMの設定(iPhone)」参照)。iPadのデュアルeSIM対応状況はモデルによって異なり、Apple公式サポートページで個別確認が必要だ。
iPadのeSIMをiPhoneと一緒に活用する
iPadと手持ちのiPhoneを組み合わせて使う場合、それぞれ別のeSIMプロファイルを設定し、端末ごとに役割を分けるのが一般的な使い方だ。たとえば「iPhoneは国内通話・データ兼用」「iPadは旅行先のデータ専用eSIM」のように使い分けられる。
eSIMクイック転送(端末間でeSIMを転送する機能)については、KDDIを含む一部キャリアでiPad→iPad間の転送に対応している(「設定」→「セルラーデータ」→「iPadのプランを転送」)。ただしiPhone→iPad間の転送は非対応だ。eSIMクイック転送の利用可否は契約キャリアのサポートページで確認すること。キャリアが対応していない場合は、キャリアからQRコードを取得するか、各社のマイページで再発行手続きを行う必要がある。
eSIMの削除・管理
不要なeSIMプロファイルを削除する
「設定」→「セルラーデータ」で管理したいeSIMのラインを選択し、「モバイル通信プランを削除」をタップする。
削除前に必ず確認すること: キャリアやeSIMプロバイダーのポリシーによっては、一度削除したeSIMプロファイルを再インストールできない場合がある。旅行eSIMを旅行後に削除するケースで特に注意が必要だ。再インストールが可能かどうかはプロバイダーのサポートページまたは購入時のメールで確認すること。
iPadのeSIMを別のiPadに引き継ぐ
端末を買い替えた場合、KDDIを含む一部キャリアはeSIMクイック転送(「設定」→「セルラーデータ」→「iPadのプランを転送」)によるiPad→iPad間の転送に対応している。対応していないキャリアではキャリアへの再発行手続きが必要だ。手続き方法はキャリアごとに異なるため、各社のサポートページで確認すること。
トラブルシューティング
「eSIMを追加できません」と表示される場合
以下の順番で確認する。
- 端末がeUICC対応か: 「設定」→「一般」→「情報」でEIDが表示されているか確認する。表示されなければその端末はeSIM非対応のハードウェアだ
- Wi-FiまたはCellular接続が有効か: インターネット接続なしではプロファイルをダウンロードできない
- キャリアロックされていないか: 「設定」→「一般」→「情報」→「キャリアロック」を確認する
- QRコードが使用済みではないか: QRコードはGSMAのセキュリティ仕様により1端末で1回のみ使用できる。使用済みの場合はキャリアに再発行を依頼する
エラーの詳細な対処法は「eSIMが設定できないときの対処法」にまとめている。
eSIMを設定したのにデータ通信が繋がらない場合
プロファイルのインストールと開通(アクティベーション)は別のステップだ。インストール完了後に「設定」→「セルラーデータ」でeSIMのラインがオンになっているか、そのラインがデフォルトのデータ回線に設定されているかを確認する。
設定が正しくても繋がらない場合は、iPadを再起動するか、「設定」→「一般」→「転送またはiPadをリセット」→「ネットワーク設定をリセット」を試みる。ネットワーク設定のリセットはWi-Fiパスワードも消去されるため、事前にパスワードを控えておくこと。キャリア側の開通処理が完了していない場合は数分から数十分待ってから再度確認する。
まとめ
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応モデル | Wi-Fi + Cellularモデルのみ(iPad Pro第3世代以降・iPad Air第3世代以降など) |
| eSIM専用モデル | iPad Pro(M4)・iPad Air(M2)は物理SIMスロットなし |
| 設定手順 | 設定→セルラーデータ→eSIMを追加→QRコードスキャン |
| iPhoneとの主な違い | データ専用・電話番号なし・音声通話不可 |
| 旅行eSIM | 国内プランと同手順で追加可能・データ専用 |
| 削除時の注意 | 一部プロバイダーは再インストール不可。削除前にポリシーを確認 |
iPadでeSIMを利用するキャリアのプランを探すにはSimFinderで「eSIM対応」フィルターを使って絞り込める。旅行先でのデータ通信に使う旅行eSIMはSimFinder Travelで国別に検索できる。
よくある質問
Wi-Fi専用iPadにeSIMを追加することはできますか?
できない。eSIMを使えるのはWi-Fi + Cellularモデルのみだ。Wi-Fi専用モデルにはeUICCチップが搭載されていないため、eSIM機能を利用できない。購入前にどちらのモデルかを確認することを推奨する。
iPadのeSIMで電話はできますか?
一般的にiPadのeSIMプランは音声通話・SMS機能なしのデータ専用プランだ。iPadには電話アプリが存在せず、iPadのeSIMで発着信することはできない。iPhoneのような電話番号が付与されるプランも通常は提供されない。
iPadに保存できるeSIMの数に上限はありますか?
eUICCチップのメモリ容量に依存しており、上限は端末によって異なる。Apple公式では8個以上のeSIMを管理できるとされている。不要になったeSIMプロファイルは「設定」→「セルラーデータ」から削除して管理することを推奨する。
旅行eSIMをiPadに設定するにはどうすればよいですか?
国内eSIMと同じ手順だ。「設定」→「セルラーデータ」→「eSIMを追加」からQRコードをスキャンするか、アクティベーションコードを手動入力してプロファイルをダウンロードする。設定完了後に「セルラーデータ」で旅行eSIMのラインをオンにしてほしい。
eSIM専用のiPadでも国内キャリアのSIMを使えますか?
iPad Pro(M4)・iPad Air(M2)のeSIM専用モデルは物理SIMスロットがないため、物理SIMカードを挿入することはできない。これらのモデルでは、eSIM対応プランのみ利用可能だ。NTTドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルを含む国内主要キャリアはiPad向けeSIMプランを提供している。