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海外でSMS二段階認証(2FA)を受信する方法

海外渡航中に日本の銀行・決済・SNSのSMS 2FAコードを受け取る最も確実な方法は、デュアルSIM構成で日本のホームSIMを維持し続けることだ。SMSはデータ通信回線とは別の経路で届くため、データローミングをOFFにしたままでも受信できる。渡航前に設定を済ませておけば、海外でも国内と同じ感覚でSMS認証コードを受け取れる。


SMS 2FAが海外で問題になる理由

日本の銀行・ネット証券・決済アプリの多くはSMSによる二段階認証(2FA)を採用している。ログインや送金などの操作のたびに、登録した日本の電話番号へ確認コードが送られてくる仕組みだ。

海外渡航時にこの仕組みが問題になるのは、端末の設定を誤るとホームSIM(日本のSIM)が無効になったり、圏外になったりするためだ。代表的な落とし穴は次のとおりである。

  • 旅行eSIM導入時にホームSIMを「使用しない」に設定してしまう
  • 端末を機内モードのまま使い続けてSIM自体が停止している
  • ホームSIMのデータローミングをONにしたまま高額課金が発生し、慌ててSIMを無効化してしまう

これらはいずれも事前の設定で防げる。以下に4つの主要な手段を解説する。


手段1:デュアルSIM構成でホームSIMを維持する(推奨)

最も確実で追加コストが最小の方法が、デュアルSIM構成だ。旅行eSIMをデータ回線として使いながら、日本のホームSIM(物理SIMまたは日本キャリアのeSIM)を通話・SMS専用として維持する。

デュアルSIMで海外旅行する方法で詳細を解説しているが、SMS受信の観点でポイントをまとめると次のとおりだ。

SMSが届く仕組み

SMSはデータ通信回線(モバイルデータ)とは別の信号経路で届く。この経路は音声通話と共通であり、ホームSIMの「データローミング」をOFFにしていても維持される。つまりデータローミングをOFFのままでSMSは届く。※ネットワーク方式(2G/3G/4G/5G)や訪問先ネットワークの実装によって詳細な配送経路は異なるが、実用上はデータローミングをOFFにした状態でも電波があれば通常どおりSMSを受信できる。

ただし以下の状態では届かない。

状態SMSが届くか
ホームSIMが有効・電波あり・データローミングOFF届く
ホームSIMが有効・電波あり・データローミングON届く
機内モード中届かない
ホームSIM「使用しない」設定届かない
ホームSIMが圏外届かない(圏外解消後に届く場合あり)

iPhone での設定

「設定」→「モバイル通信」を開き、次を確認する。

  1. 「モバイルデータ通信」 で旅行eSIMの回線を選択する(ホームSIMのデータ通信を無効化する)
  2. 「モバイルデータ通信の切り替えを許可」 をOFFにする(Apple公式の正式名称。support.apple.com/ja-jp/109317)。この設定をONのままにすると、旅行eSIMの電波が弱い場所でホームSIMのデータが自動使用され、ローミング課金が発生する
  3. 「デフォルトの音声回線」 でホームSIM(日本のSIM)を選択する
  4. 「モバイル通信」→ホームSIMを選択→「データローミング」がOFFになっていることを確認する

Android(Google Pixel)での設定

「設定」→「ネットワークとインターネット」→「SIM」を開き、次を設定する。

  • 「データSIM」で旅行eSIMを選択する
  • 「通話SIM」でホームSIM(日本のSIM)を選択する
  • ホームSIMの設定を開き「ローミング」をOFFにする

Samsung Galaxy の場合は「設定」→「接続」→「SIMカードマネージャー」から同様の操作を行う。Android のメーカーやバージョンによって設定メニューの名称が異なる場合があるため、画面の表示に従って操作する。

対応端末

この構成にはデュアルSIM対応端末が必要だ。iPhone XS・XR(2018年)以降の全モデルはeSIMに対応し、デュアルSIM構成が可能だ。Google Pixel は Pixel 3a 以降が DSDS(Dual SIM Dual Standby)に対応しているが、日本のキャリアから購入したモデルではeSIM・デュアルSIM機能が制限される場合があるため、端末のモデルと購入元(SIMフリー版か)を事前に確認すること。デュアルSIMの方式(DSDS/DSDV/DSDA)の詳細はデュアルSIMとはを参照してほしい。


手段2:国際ローミングでホームSIMを使い続ける

デュアルSIM非対応端末、または旅行eSIMを導入しない場合の選択肢が国際ローミングだ。ホームSIM(日本のキャリアSIM)のまま海外のローミングパートナーネットワークに接続し、SMS・通話・データをすべてホームキャリア経由で使う方式である。

国際ローミングの仕組みと料金で詳しく解説しているが、SMS受信の観点での注意点は次のとおりだ。

SMS受信とデータローミングの関係

国際ローミング環境でも、SMSはデータ通信とは別経路で届く。データローミングをOFFにした状態でも、電波が入っていればSMSは受信できる。

料金への注意

国際ローミングでデータ通信を行うと、キャリアの定めるローミング料金が発生する。旅行eSIM+デュアルSIM構成(手段1)と比較して、長期滞在や大容量通信ではコストが高くなる場合がある。SMS受信だけが目的であれば、データローミングをOFFにしてSMSのみを受信するという運用も技術的には可能だ。

ただしデータローミングをOFFにしていても、着信した通話や発信したSMSにはキャリアのプランに応じた料金が発生する場合がある。渡航前に利用中のキャリアの公式サイトで最新のローミング料金・条件を確認することを推奨する。SimFinderで旅行eSIMのプランを比較し、ホームSIMのローミングコストと比較検討するのも有効だ。


手段3:Wi-Fi Calling 経由でのSMS受信

Wi-Fi Calling(Wi-Fi通話)は、モバイルネットワークではなくWi-Fi経由でキャリアのネットワークに接続し、通話やSMSを送受信する技術だ。端末がWi-Fiに接続されている場合、海外でもホームキャリアを通じてSMSを受信できる仕組みである。

ただし日本の大手キャリアによるWi-Fi Callingの提供状況は限定的であり、対応状況・利用条件はキャリア・契約プランによって異なる。Wi-Fi Callingを利用できる場合、海外でホームSIMのモバイル電波がなくてもWi-Fi接続があればSMSを受信できる。利用可能かどうかは、契約中のキャリアの公式情報で確認する。

Wi-Fi Callingはあくまで補助手段として位置づけるのが適切だ。ホテルや空港のWi-Fiに接続できなければ機能しないこと、キャリアの対応状況に依存することから、手段1(デュアルSIM)や手段4(認証アプリ移行)と組み合わせて活用するのが現実的である。


手段4:認証アプリ(TOTP)・パスキーへの事前移行(根本対策)

海外でのSMS受信に依存しない根本的な対策が、認証アプリへの事前移行だ。

認証アプリ(TOTP)とは

TOTP(Time-based One-Time Password)は、Google Authenticator・Authy・Microsoft Authenticator等のアプリが30秒ごとに生成する6桁コードを使う認証方式だ。インターネット接続なしで動作するため、海外での電波状況に左右されない。

SMS 2FAと比較した利点は次のとおりだ。

  • 電波・SIM不要: Wi-Fiもモバイルデータも必要なく、オフライン環境でも使える
  • セキュリティが高い: SMS 2FAはSIMスワップ詐欺(第三者が電話番号を不正に乗っ取る攻撃)に脆弱であり、認証アプリはこのリスクがない
  • 速い: SMSの遅延(特に国際ローミング環境)がなく即座にコードが表示される

パスキーとは

パスキーはFIDO2/WebAuthn規格に基づく認証方式で、生体認証(顔・指紋)や端末PINを使ってログインする。スマートフォン本体やパスワードマネージャーに保存され、フィッシングやSIMスワップに対して強固だ。対応サービスが順次拡大している。

移行手順の概要

認証アプリへの移行は、各サービスのセキュリティ設定から行える。

  1. サービスの設定画面で「二段階認証の管理」または「セキュリティ」を開く
  2. 「認証アプリを追加」または「Google Authenticatorで設定」等のオプションを選択する
  3. QRコードをアプリでスキャンし、表示されたコードで設定を完了する
  4. バックアップコード(リカバリコード)を必ず保存する

渡航前に移行を完了しておくことが重要だ。現地で認証の問題が発生してから対処するのは時間・手間ともに大きい。


主要サービスのSMS 2FA依存度

日本で広く使われているサービスのうち、SMS 2FAへの依存度が高いカテゴリを整理する。

要注意カテゴリ

  • 銀行・ネット証券: 三井住友銀行・みずほ銀行・楽天銀行など多くの金融機関がログイン・取引時にSMSまたは専用アプリで2FAを実施している。銀行アプリは認証アプリ(TOTP)への移行に対応していないケースも多く、SMS認証が唯一の手段になっている場合がある
  • 決済・EC: メルカリ・PayPay・楽天市場などはSMS 2FAを採用している
  • SNS: LINE・X(旧Twitter)・Instagramなど。LINE・XはTOTP認証アプリへの移行が可能

銀行アプリが認証アプリ非対応の場合

銀行アプリがTOTP認証アプリへの移行に対応していない場合、海外でSMSコードを受け取り続けるためにはホームSIMを維持する(手段1または2)以外に選択肢がない。この場合、渡航前に渡航前のスマホ準備チェックリストに従って設定を確認・完了しておくことが特に重要になる。

認証アプリのバックアップについて

認証アプリへ移行した場合、スマートフォンの紛失・故障・機種変更時に備えてバックアップが必要だ。バックアップの手段はアプリによって異なる。

  • Authy: クラウドバックアップ機能を内蔵しており、複数デバイスへの復元が可能
  • Google Authenticator: Googleアカウントへのバックアップに対応(2023年以降)
  • Microsoft Authenticator: クラウドバックアップをサポート

TOTPに移行する際は、各サービスが提供する**バックアップコード(リカバリコード)**を必ず安全な場所に保管する。バックアップコードは認証アプリを失った場合のリカバリに使う唯一の手段となる場合があるためだ。


渡航前チェックリスト

出発前に以下を確認・完了しておく。

必須確認事項

  • 利用する銀行・決済サービスの2FA方式を確認する(SMSのみか、認証アプリも対応しているか)
  • 認証アプリに移行できるサービスは移行を完了する
  • バックアップコード(リカバリコード)を紙または安全な場所に保存する
  • デュアルSIM構成の場合、ホームSIMのデータローミング設定をOFFにする
  • iPhoneの場合、「モバイルデータ通信の切り替えを許可」をOFFにする
  • ホームSIMのキャリアでローミング中のSMS受信条件を確認する

デュアルSIM構成の場合の追加確認事項

  • 旅行eSIMをインストール済みであること
  • 旅行eSIM側をデータ回線として設定済みであること
  • ホームSIM側を通話・SMS用として設定済みであること
  • 設定完了後、国内で試験的にSMSを受信できることを確認する

渡航前の準備全体については渡航前のスマホ準備チェックリストにまとめているので、あわせて確認してほしい。


4手段の比較と選び方

手段追加コスト事前準備電波依存セキュリティ
デュアルSIM(旅行eSIM+ホームSIM)旅行eSIM料金中(eSIMインストール+設定)ホームSIMの電波が必要標準
国際ローミングキャリアのローミング料金低(設定確認のみ)ホームSIMの電波が必要標準
Wi-Fi Callingキャリアによる低(キャリア対応確認)Wi-Fiが必要標準
認証アプリ(TOTP)移行不要高(各サービスで移行作業)不要(オフライン動作)

推奨の組み合わせ

デュアルSIM構成と認証アプリ移行を組み合わせるのが、コスト・利便性・セキュリティのバランスが最もよい。認証アプリに移行できないサービス(一部の銀行アプリ等)はデュアルSIM構成でSMS受信を維持し、移行できるサービスは順次認証アプリに切り替えるという段階的な対応が現実的だ。

状況別の選択指針

  • 旅行eSIMを使う予定がある: 手段1(デュアルSIM)+手段4(認証アプリ移行)の組み合わせが最適
  • 旅行eSIMを使わず国際ローミングで完結させる: 手段2(国際ローミング)+手段4の組み合わせ
  • デュアルSIM非対応端末を使っている: 手段2(国際ローミング)または手段4(認証アプリ移行)を優先する
  • 銀行アプリがTOTP非対応: 手段1または手段2でSMS受信環境を確保することが必須

旅行eSIMのプランはSimFinderで比較すると渡航先・期間・容量を指定して複数プロバイダーを一括確認できる。海外での通信手段の全体像については海外でスマホを使う4つの方法で解説している。


よくある質問

よくある質問はフロントマターの faqItems に構造化されている。代表的な5問の要点を以下にまとめる。

  • データローミングをOFFにしてもSMS受信は継続できる(データとSMSは別経路のため)
  • デュアルSIM対応端末なら旅行eSIMとホームSIMを同時に使いながらSMSを受信できる
  • 認証アプリ(TOTP)はSMS 2FAより一般的にセキュリティが高く、海外での電波に依存しない
  • SMS受信に関わる国際ローミング料金はキャリアにより異なるため公式情報で要確認
  • 日本向けiPhone 15は物理SIM+eSIMのデュアルSIM構成が可能(iPhone 13以降はeSIM×2も対応)

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