旅行eSIMを使えば、プランをオンラインで購入し、出発前にインストールして、現地到着と同時にデータ通信を開始できる。物理SIMカードの入手や差し替えは不要だ。このガイドでは、端末の確認から帰国後の管理まで、7つのステップで全工程を解説する。
Step 1: 端末がeSIM対応かどうかを確認する
旅行eSIMを購入する前に、端末が2つの条件を満たしているか確認する。「eSIMに対応していること」と「SIMロックが解除されていること」だ。
eSIM対応の確認
iPhoneの場合: 「設定」→「モバイル通信」を開き、「eSIMを追加」または「モバイル通信プランを追加」のメニューが表示されればeSIM対応端末だ。iPhone XS・XS Max・XR(2018年)以降の全モデルがeSIMに対応している。
Android(Google Pixel)の場合: 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「SIM」→「SIMを追加」からeSIMのセットアップ画面が表示されれば対応している。Google Pixel 3以降のモデルは基本的にeSIMに対応しているが、Pixel 3は地域・キャリアによって非対応の場合がある。
Samsung Galaxyの場合: 「設定」→「接続」→「SIMカードマネージャー」で「モバイルプランを追加」または「SIMをダウンロード」のオプションが表示されれば対応している。Galaxy S20以降のほとんどのモデルはeSIMに対応している。
設定画面にeSIM追加のオプションが表示されない場合、その端末はeSIM非対応か、eSIM機能がキャリアによって無効化されている場合がある。
SIMロックの確認
キャリアがロックをかけた端末では、他のキャリアのeSIMプロファイルを使用できない場合がある。日本では2021年10月1日以降に発売された端末は、総務省のガイドライン改正によりSIMロックの初期設定が原則禁止されているため、その時期以降に購入した新品端末はSIMフリーの状態で販売されている。
それ以前にキャリアで購入した端末や、中古端末の場合は、購入先キャリアに解除を依頼する。多くのキャリアはオンラインから無料で手続きできる。
Step 2: 旅行eSIMプランを選ぶ
単国プランと複数国プラン
旅行eSIMには主に2種類ある。
- 単国プラン: 特定の1カ国のみ有効。同じ国に長く滞在する場合にコストパフォーマンスが高いことが多い。
- 複数国・リージョナルプラン: 複数の国や地域をまとめてカバーする(例: アジア周遊プラン、ヨーロッパ周遊プランなど)。複数国を訪問する旅行に適している。ただし国内でのパートナー網によって速度が異なる場合がある。
必要なデータ量の目安
購入前に必要なデータ量を大まかに見積もる。参考として、Google マップなどのナビアプリは1時間あたり約3〜20MBを消費する。Netflixなどの動画ストリーミングは標準画質で1時間あたり最大0.7GBを消費する(HD画質では最大3GB)。
1週間の旅行で、地図・メッセージ・軽いブラウジングが中心であれば、5〜10GBが目安になる。動画視聴やリモートワークを想定する場合は10〜20GBまたは無制限プランを検討する。
詳しいアプリ別データ消費量の目安はデータ通信量の目安を参照。
有効期限の確認
旅行eSIMプランには有効期限があり、7日・14日・30日・90日などが一般的だ。有効期限がインストール時から始まるプランと、初回アクティベーション時から始まるプランの2種類がある。購入前にどちらの方式かを必ず確認し、旅行日数より数日余裕を持った期間のプランを選ぶ。
ほとんどの旅行eSIMはデータ通信専用
前述のとおり、ほとんどの旅行eSIMはデータ通信専用であり、個別の電話番号は付与されない。音声通話・SMS送受信はWi-FiやLINE・WhatsApp・FaceTime Audioなどのインターネット経由アプリで対応できる。
デュアルSIM設定で日本のSIMを維持していれば、日本の番号への着信・SMS受信(二段階認証など)は引き続き可能だ。
SimFinderで渡航先の旅行eSIMプランを比較する →
Step 3: eSIMを購入し、QRコードを受け取る
旅行eSIMはプロバイダーの公式サイトまたはアプリから購入する。支払い完了後に届くものは次のいずれかだ。
- QRコード: メールで届くか、プロバイダーのアプリ内に表示される
- 手動入力コード: SM-DP+サーバーアドレスとアクティベーションコードが記載されている
QRコードまたはコードの内容は、モバイルデータ通信なしでアクセスできる場所に保存しておく。スクリーンショット、印刷、または別のデバイスのメモアプリに控えておくのが確実だ。
QRコードは各端末に1回しかスキャンできない。他人に共有しないこと。
Step 4: 出発前にeSIMプロファイルをインストールする
eSIMプロファイルは自宅のWi-Fi環境でインストールする。プロファイルのダウンロードにはインターネット接続が必要だ。
iPhoneの手順
- 「設定」→「モバイル通信」を開く
- 「eSIMを追加」をタップ
- 「QRコードを使用」を選択してプロバイダーのQRコードをスキャンする
- 手動入力の場合は「詳細を手動で入力」からSM-DP+アドレスとアクティベーションコードを入力する
- 画面の指示に従ってダウンロードを完了する
- 回線のラベルを設定するとき、「旅行eSIM」など分かりやすい名前を付ける
- データ通信の回線を旅行eSIMに切り替えない — 現地到着まで日本のSIMをデータ回線のままにしておく
インストール後すぐに有効化するか尋ねられた場合は、現地到着まで有効化しないことを選択する。
Android(Google Pixel)の手順
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「SIM」を開く
- 「SIMを追加」をタップ
- 「QRコードをスキャン」を選択してコードをスキャンするか、「アクティベーションコードを入力」で手動入力する
- 画面の指示に従ってプロファイルをダウンロードする
- インストール完了後、旅行eSIMを有効化しない — 現地到着まで待つ
Samsung Galaxyの手順
- 「設定」→「接続」→「SIMカードマネージャー」を開く
- 「モバイルプランを追加」または「SIMをダウンロード」をタップ
- QRコードをスキャンするか、アクティベーションコードを手動入力する
- インストール完了後、渡航先に到着するまで有効化しない
インストール後、eSIMプロファイルは端末のeUICCチップに保存される。有効化するまでデータは消費されない。
具体的なeSIM設定手順についてはeSIMセットアップガイドで詳しく解説しています。
Step 5: 現地到着後にeSIMをアクティベートする
現地に到着し、端末が現地ネットワークを検出したら旅行eSIMに切り替える。
旅行eSIM回線を有効化する
iPhoneの場合:
- 「設定」→「モバイル通信」を開く
- インストールした旅行eSIMの回線をタップ
- 「この回線をオンにする」を有効にする
- 「モバイルデータ通信」に戻り、旅行eSIMをデータ通信回線に設定する
- 旅行eSIM回線の「データローミング」を有効にする
Android / Samsungの場合:
- SIMマネージャー設定を開く
- 旅行eSIM回線を有効化する
- 優先データSIMとして設定する
デュアルSIM設定の確認
日本のSIMを旅行eSIMと並行して使う場合、各回線の役割を確認する。
- 通話・SMS: 日本のSIMを使用(日本の番号を維持するため)
- モバイルデータ: 旅行eSIMを使用
- iPhoneでは「モバイルデータ通信の切り替えを許可」をオフにすると、電波が弱い場所で自動的に日本のSIMのデータに戻るのを防げる(日本のSIMのデータローミング料金発生を避けるため)
eSIMが繋がらない場合の対処
アクティベーション後に旅行eSIMが自動接続しない場合:
- 旅行eSIM回線のデータローミングが有効になっているか確認する
- 機内モードをオンにして5秒待ってからオフにする
- 「設定 → モバイル通信 → 通信事業者」(iPhone)または「モバイルネットワーク設定」(Android)からネットワークを手動選択する
- それでも解決しない場合はeSIMプロバイダーのサポート(アプリ内チャット・公式サイト)に連絡する
Step 6: 旅行中のeSIM管理
データ残量の確認
長い旅程では定期的にデータ残量を確認する。ほとんどのプロバイダーはアプリまたは公式サイトのダッシュボードで残量を表示している。iPhoneでは「設定 → モバイル通信 → 回線名」からも利用量を確認できる。
残量が少なくなった場合、一部プロバイダーはアプリからQRコード不要でデータを追加購入(トップアップ)できる。
通話・メッセージの利用
ほとんどの旅行eSIMはデータ通信専用のため、音声通話・テキストメッセージはインターネット経由のアプリで行う。
- LINE / WhatsApp: 通話は1時間あたり約15〜50MBを消費。テキストメッセージのデータ消費はほぼゼロ
- FaceTime Audio: Appleデバイス間で利用可能
- Signal: 全プラットフォーム対応、暗号化通話・メッセージ
- Google Meet / Zoom: ビデオ会議; 1対1 HD品質のビデオ通話は1時間あたり約0.9〜1.1GBを消費
デュアルSIMで日本のSIMを維持している場合、日本のSIMでの発信は日本キャリアの国際通話料金が適用される。
バッテリー消費の注意
2回線を同時に使うデュアルSIM状態はシングルSIMより電池の消費が増える。長時間の外出でバッテリーが心配な場合は、日本のSIMのデータ通信のみをオフにしておく(通話・SMS受信は可能な状態を保ちながら)とバッテリー消費を抑えられる。
Step 7: 帰国後の処理
日本のSIMに戻す
帰国したら次の手順で元の設定に戻す。
- 「設定 → モバイル通信」を開く
- 日本のSIMまたは日本のeSIMをデータ回線に設定する
- 旅行eSIMのデータローミングをオフにするか、旅行eSIM回線全体を無効にする
eSIMプロファイルの処理
旅行eSIMに残データが残っており、同じプロバイダーが再利用を許可している場合は、次の旅行に備えてプロファイルをそのまま保持できる。
期限が切れ、再度その地域を訪れる予定がなければ、プロファイルを削除してeSIM一覧を整理する。
iPhoneの場合: 設定 → モバイル通信 → 該当の旅行eSIM回線 → eSIMを削除
Androidの場合: SIMマネージャー設定 → 該当の旅行eSIM回線 → 削除(Delete/Remove)
削除する前に、プロバイダーの再インストールポリシーを確認する。アプリから再インストールできるプロバイダーもあるが、一度削除すると別途費用が必要なプロバイダーもある。
旅行eSIM 完了チェックリスト
旅行前・旅行中に活用してほしい。
出発前
- 端末がeSIM対応か確認(iPhoneは「設定 → モバイル通信」、AndroidはSIMマネージャー)
- 端末がSIMフリー(SIMロック解除済み)か確認
- 旅行日数・利用スタイルに合ったデータ量を見積もる
- 渡航先と期間に合ったeSIMプランを購入する
- QRコードまたはアクティベーションコードを保存・スクリーンショット
- 自宅のWi-Fiでプロファイルをインストールする
- 回線ラベルを「旅行eSIM」など分かりやすい名前に設定する
- 旅行eSIMを無効のままにしておく(アクティベーション前)
現地到着後
- 旅行eSIM回線を有効化する
- 旅行eSIMをデータ通信回線に設定する
- 旅行eSIMのデータローミングを有効にする
- 端末が現地ネットワークに接続されていることを確認する
- ブラウザやアプリでデータ通信が動作するかテストする
旅行中
- プロバイダーのアプリでデータ残量を確認する
- 通話・メッセージはLINE・WhatsApp・FaceTimeなどを使う
- データ残量が少なくなったらトップアップを検討する(プロバイダーによる)
帰国後
- データ通信回線を日本のSIMに戻す
- 旅行eSIMプロファイルを保持するか削除するかを決める
- 削除前にプロバイダーの再インストールポリシーを確認する
よくある質問
旅行eSIMは出発前にインストールしておく必要がありますか?
はい。eSIMプロファイルのダウンロードにはインターネット接続が必要だ。自宅のWi-Fi環境で出発前にインストールまで済ませること。アクティベーション(データ通信の開始)は現地到着後に行う。インストールしただけではデータは消費されない。
旅行eSIMを使っている間、日本の電話番号は使えますか?
デュアルSIM対応端末であれば、日本のSIM(電話番号)を維持したまま旅行eSIMをデータ通信専用として使える。設定画面でデータ通信回線を旅行eSIMに切り替えても、日本のSIMは通話・SMS受信に引き続き使用できる。
旅行eSIMで電話の発信やSMS送信はできますか?
ほとんどの旅行eSIMはデータ通信専用だ。電話番号は付与されないため、従来の音声通話やSMSには使えない。通話はLINE・WhatsApp・FaceTime AudioなどのVoIPアプリで代替できる。デュアルSIM設定で日本のSIMを維持していれば、日本の番号への着信・SMS受信は引き続き可能だ。
現地に到着してもeSIMが繋がらない場合はどうすればいいですか?
まず旅行eSIM回線のデータローミングが有効になっているか確認する。次に機内モードをオン・オフして端末を再起動し、現地ネットワークの再検索を促す。それでも繋がらない場合は、設定画面の「通信事業者」でネットワークを手動選択すること。以上で解決しない場合はeSIMプロバイダーのサポートに連絡すること。
同じeSIMを次の旅行でも使い回せますか?
プロバイダーとプランの種類による。残データがあり有効期限内であれば継続利用できるものもある。一部プロバイダーはアプリからデータの追加購入(トップアップ)に対応している。一方、一度削除すると再インストールできない使い捨てプロファイルもある。削除前にプロバイダーの再インストールポリシーを確認すること。
帰国後、旅行eSIMはどうすればいいですか?
まずデータ通信回線を日本のSIMに戻す。残データがあり次の旅行でも同じ地域に行く予定があれば、eSIMプロファイルをそのまま保持できる(プロバイダーが許可している場合)。不要であれば削除してeSIM一覧を整理すること。
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