通話品質の問題(音が途切れる・こもる・遅延・ノイズ・エコー)は、原因が「電波状況」「VoLTE/VoNRの設定」「Wi-Fi Calling」「端末ハードウェア」「ネットワーク障害」の5つに大別される。まず電波状況とVoLTE有効化を確認し、それ以外の原因へと順に絞り込む。
この記事では、症状ごとの原因の切り分け方と、iPhone・Android双方で試せる対処手順を順を追って解説する。
症状から原因を絞り込む
対処を始める前に、症状のパターンで原因の当たりをつける。
| 症状 | 可能性が高い原因 |
|---|---|
| 音が頻繁に途切れる・ブツブツ鳴る | 電波が弱い・VoLTE無効・パケット損失 |
| 相手の声がこもる・低音になる | AMR-NBコーデック(VoLTE未対応)に落ちている |
| 会話が0.5秒以上ズレる(遅延) | 電波状況の悪化・ネットワーク経路の問題 |
| ノイズ・雑音が常に聞こえる | 端末マイク/スピーカーの物理的問題 または 電波干渉 |
| エコーが聞こえる(自分の声が返ってくる) | ネットワーク遅延による音声回り込み |
| 特定の場所でだけ悪い | その場所の電波環境の問題 |
| 特定の相手との通話だけ悪い | 相手側の端末・ネットワークの問題 |
| Wi-Fi接続時だけ悪い | Wi-Fi Callingの切り替え問題 |
電波状況を確認する
音が途切れる・遅延するといった症状で最も多い原因は電波状況の悪化だ。
VoLTEは音声パケットにQCI 1(最優先クラス)を割り当てるが、電波が弱い状態ではパケット損失そのものは避けられない。電波バーが1〜2本以下の環境では通話品質の低下が起きやすい。
確認手順:
- 端末のステータスバーで電波バーの本数を確認する
- 「LTE」「4G」「5G」のいずれかが表示されているか確認する(「E」「H」「3G」が表示されている場合はVoLTEが使えない状態)
- 電波バー3本以上かつ「LTE/4G/5G」表示の場所に移動して通話を試す
電波が弱い根本的な原因(地下・建物内・郊外など)の対処方法は「「圏外」「サービスなし」の対処法」で詳しく解説している。
VoLTE / VoNRの有効化を確認する
**VoLTE(Voice over LTE)**は4G LTE上でIPパケットを使って音声を伝送する技術であり、AMR-WB(HD Voice)コーデックによる高音質通話(50〜7,000 Hzの音声帯域)を実現する。VoLTEが無効・非対応の状態では、音声が3G相当のAMR-NB(300〜3,400 Hz)にフォールバックし、こもった通話品質になる。
VoLTEの仕組みと日本のキャリアの対応状況の詳細は「VoLTEとVoNRとは — 4G/5Gで通話する仕組みと対応端末」で解説している。
iPhoneでVoLTEを有効化する手順
- 「設定」→「モバイル通信」を開く
- 使用しているSIM(または回線名)をタップする
- 「音声とデータ」(Voice & Data)で「4G」または「5G」が選択されているか確認する
- 「4G」を選択し直す(「3G」「2G」になっている場合はVoLTEが使われない)
- 「VoLTEを有効化」トグルが表示されている場合はオンにする
AndroidでVoLTEを有効化する手順
メーカー・OSバージョンによってメニュー名が異なるが、一般的な手順は以下の通りだ。
Android(Pixel):
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「通話設定」
- 「HD通話」または「VoLTE通話」がオンになっているか確認する
Android(Samsung):
- 「設定」→「接続」→「モバイルネットワーク」
- 「VoLTE通話」トグルがオンになっているか確認する
MVNOでVoLTEが使えない場合
格安SIM(MVNO)を利用している場合、MNOとMVNOの双方がVoLTE利用を許可している必要がある。MVNOによってはVoLTE対応を「対応端末リスト(ホワイトリスト)」で管理しており、リスト外の端末ではVoLTEが使えないことがある。
確認方法:
- 利用中のMVNOの公式サポートページで「VoLTE対応端末リスト」「VoLTE対応状況」を検索する
- 端末の機種名が対応リストに含まれているか確認する
Wi-Fi Callingの設定を確認する
Wi-Fi接続中に通話品質が悪化する場合、**Wi-Fi Calling(VoWiFi)**の設定が影響している可能性がある。
Wi-Fi Callingは、Wi-Fiネットワーク経由でIMSに接続して音声通話を行う技術だ。安定したWi-Fi環境ではVoLTEより良好な通話品質が得られるが、Wi-Fiが不安定な状態ではかえって通話品質が低下する場合がある。Wi-Fi CallingとVoLTEの切り替えの仕組みについては「Wi-Fi Calling(VoWiFi)とは — 電波が弱い場所での通話」で詳しく解説している。
Wi-Fi CallingがオンでWi-Fiが不安定な場合の対処
- Wi-Fiをオフにして、VoLTEのみで通話を試す
- 通話品質が改善する場合は、Wi-Fiルーターの再起動や5GHz帯への切り替えを試みる
- 頻繁に不安定なWi-Fi環境に置かれる場合は、Wi-Fi Callingを「携帯電話優先」に設定する
iPhone(Wi-Fi Calling設定):
- 「設定」→「モバイル通信」→「Wi-Fi通話」→「Wi-Fi通話をオン」のトグルを確認する
- 「Wi-Fi電話の優先度」を「携帯電話優先」に変更して試す
Android(Pixel):
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「通話設定」→「Wi-Fi通話」
- 「Wi-Fi優先」「携帯電話ネットワーク優先」を切り替えて試す
3G停波の影響を確認する
日本では主要キャリアの3Gサービスが順次終了した。VoLTE非対応端末や、VoLTE設定が無効の状態では、通話そのものができなくなる可能性がある。
| キャリア | 3Gサービス終了日 |
|---|---|
| KDDI(au) | 2022年3月31日 |
| ソフトバンク | 2024年7月31日(石川県以外は4月15日に終了) |
| NTTドコモ | 2026年3月31日 |
| 楽天モバイル | 3Gネットワークを持たなかった |
「音声とデータ」設定が「3G」または「2G」になっている端末は、3G停波後のキャリアでは通話ができない。前述の手順でVoLTEを有効化することが必要だ。
端末の再起動・ネットワーク設定リセット
ソフトウェアの一時的な不具合で通話品質が低下する場合がある。以下の手順を順番に試す。
ステップ1: 機内モードのオン・オフ
機内モードをオンにして10秒待ち、オフに戻す。端末の無線モジュールがネットワークへの再接続をゼロから開始するため、一時的な接続状態の乱れが解消される場合がある。
ステップ2: 端末の再起動
完全にシャットダウンして再起動する。ベースバンドモデム(通信制御チップ)を含めたハードウェアを初期化状態から起動し直す。
ステップ3: ネットワーク設定のリセット
ここまでで改善しない場合、ネットワーク設定をリセットする。この操作でWi-Fiの保存済みパスワード・VPN設定・APN設定が削除される。アプリ・写真などの個人データは消えない。
詳細な手順(iPhone・Android各機種別)は「ネットワーク設定のリセット方法と影響範囲」で確認できる。
端末側かネットワーク側かを切り分ける
ノイズ・エコー・こもりの原因が端末ハードウェアにあるのか、ネットワーク・設定の問題なのかを判断する手順を示す。
切り分け手順
ステップ1: 別の通話方法で試す
- 同じ端末でLINE通話・Zoom通話など、VoIP経由の通話を試す
- VoIP通話で音質が良好な場合、問題はVoLTEネットワーク側にある可能性が高い
- VoIP通話でも同様のノイズ・こもりがある場合、端末のマイク/スピーカーの物理的問題が疑われる
ステップ2: イヤホンで試す
- 有線イヤホン(Lightning / USB-C接続)を使って通話を試す
- イヤホン使用時にノイズが消える場合、端末の内蔵スピーカーまたはマイクに問題がある
ステップ3: 別の端末に同じSIMを挿して試す
- 別の端末に同じSIMカードを挿して同じ相手に通話する
- 別端末で通話品質が正常な場合 → 元の端末ハードウェアの問題
- 別端末でも同様に悪い場合 → SIM設定またはネットワーク側の問題
ステップ4: 相手を変えて試す
- 複数の異なる相手に電話して、特定の相手との通話のみ悪いかを確認する
- 特定の相手だけ悪い場合は、相手側の端末・環境・ネットワークに問題がある可能性がある
ノイズ・エコーの対処
ノイズの場合
- 端末のマイク穴(底部・前面)にケース・指・手のひらが当たっていないか確認する
- 通話中にハンズフリー(スピーカーフォン)に切り替えて症状が変わるか確認する
- マイク穴に繊維・ほこりが詰まっている場合は、エアダスターまたは乾いた綿棒で清掃する
- それでも改善しない場合は、上述の「別端末でのテスト」で端末ハードウェアの問題か否かを判定する
エコーの場合
エコー(自分の声が返ってくる現象)は多くの場合、ネットワーク遅延と音声の回り込みが組み合わさることで発生する。
- 通話相手にスピーカーフォンをオフにしてもらうよう依頼する(スピーカーフォンは音が回り込みやすい)
- 電波バーが低い場所(1〜2本)であれば、電波の強い場所に移動する
- エコーが自分に聞こえている場合は相手側の問題。相手に端末の再起動・ハンズフリーのオフを依頼する
通信速度が遅い状態での通話品質
データ通信速度が極端に低下している状態(速度制限・POI混雑時)は、通話品質への影響がMNO直契約とMVNO経由で異なる。
MNO直契約の場合: VoLTE音声パケットにはQCI 1(最優先クラス)が割り当てられており、データ速度制限の影響を受けない設計だ。速度制限中でも通話品質への直接的な影響は限定的である。
MVNO経由の場合: MNOとMVNOを接続するPOI(相互接続点)の帯域が逼迫している状況では、QoS優先制御がエンドツーエンドで保証されないことがある。POI帯域の逼迫時には通話音声にも影響が出る場合がある。
なお、VoWiFi(Wi-Fi Calling)を利用している状態でWi-Fiのスループットが極端に低い場合は、MNO・MVNOにかかわらず通話音声に影響が出る場合がある。
データ通信速度の問題については「通信速度が極端に遅い場合の対処法」を参照してほしい。
キャリア障害情報の確認
突然通話品質が悪化した場合、キャリアのネットワーク障害が原因の可能性がある。各キャリアの障害情報は以下で確認できる。
- NTTドコモ: サービス障害情報
- au: 通信障害等に関するお知らせ
- ソフトバンク: 障害情報
- 楽天モバイル: 障害情報のお知らせ
障害情報で該当エリア・サービスが報告されている場合は、復旧を待つ以外に対処方法はない。
よくある質問
通話中に音が途切れる原因は何ですか?
最も多い原因は電波状況の悪化です。電波バーが1〜2本以下の状態では、VoLTE音声パケットの損失が発生し、音が途切れます。次に多い原因はVoLTEが有効になっていないことです。端末の機内モードをオン・オフしてネットワークを再接続し、電波バーが3本以上ある場所で通話を試してください。
相手だけ声がこもって聞こえると言われます。こちら側の問題ですか?
相手が「こもる」と感じている場合、問題は発信側(あなた)のマイクか、発信側のネットワークにある可能性が高いです。端末のマイク穴に指や手が当たっていないか確認し、ハンズフリー通話に切り替えて改善するか試してください。改善しない場合はネットワーク設定のリセットを試みてください。
VoLTEが有効かどうか、どうやって確認しますか?
iPhoneでは「設定」→「モバイル通信」→該当SIMをタップ→「音声とデータ」で「4G」または「5G」が選択されているか確認します。Androidでは「設定」→「ネットワークとインターネット」→「通話設定」(または「詳細設定」)→「VoLTE通話」がオンになっているか確認します。端末・キャリアによってメニュー名が異なる場合があります。
通話中にWi-Fiをオフにしたらノイズがなくなりました。なぜですか?
Wi-Fi接続が不安定な状態でWi-Fi Callingが有効になっていると、VoLTEとVoWiFiの間で意図しない切り替えが発生し、通話品質が乱れる場合があります。不安定なWi-FiをオフにするとVoLTEのみの通信に切り替わり、品質が安定することがあります。
ノイズ・エコーは端末側の問題とネットワーク側のどちらですか?
エコーは多くの場合ネットワーク側(遅延+回り込み)が原因です。ノイズには端末のマイク・スピーカーの物理的な問題と、電波状況悪化によるパケット損失の両方の可能性があります。別の端末に同じSIMを挿して通話品質が改善する場合は端末側の問題、改善しない場合はネットワーク・SIM設定の問題です。
関連ガイド
- VoLTEとVoNRとは — 4G/5Gで通話する仕組みと対応端末 — VoLTE・VoNRの仕組みとSIMフリー端末での対応確認方法
- 「圏外」「サービスなし」の対処法 — 電波が届かない根本原因の解消手順
- 通信速度が極端に遅い場合の対処法 — データ通信速度低下の原因切り分けと対処
- Wi-Fi Calling(VoWiFi)とは — 電波が弱い場所での通話 — Wi-Fi Callingの仕組みと有効化手順
- ネットワーク設定のリセット方法と影響範囲 — iPhone・Androidのネットワーク設定リセット詳細手順
通話品質の良いプランを探す場合は SimFinderの比較ツール で品質スコアを参考にできる。