ネットワーク設定のリセットは、圏外・データ不通・接続不安定が他の手段で解消しない場合に試す手順だ。削除されるのはWi-Fiパスワード・手動APN設定・VPN設定など。Bluetoothペアリング情報についてはiPhoneでは原則削除されないがAndroid(Pixel等)では削除される。写真・連絡先・アプリのデータは一切消えない。リセット後は削除された設定の再入力が必要になるため、実行前に保存しておくべき情報を確認することが重要だ。
「圏外」「サービスなし」状態になっている場合は、まず「「圏外」「サービスなし」の対処法」の基本手順(機内モードトグル・再起動・ネットワーク選択確認)を先に試してほしい。ネットワーク設定のリセットはその後の手段として位置づける。
ネットワーク設定のリセットで削除されるものと残るもの
リセットを実行する前に、何が消えて何が残るかを正確に把握しておくことが重要だ。
削除される設定
| 設定 | 詳細 |
|---|---|
| Wi-Fiの保存済みパスワード | これまで接続したすべてのWi-Fiのパスワードが削除される。再接続時には再入力が必要 |
| APN設定(手動設定分) | MVNOや旅行eSIMの手動APN設定が削除される。構成プロファイル(.mobileconfig)経由でインストールしたAPN設定はプロファイル本体が残るため削除されない |
| VPN設定 | 端末に保存されたVPNプロファイル・サーバーアドレス・認証情報がすべて削除される |
| Bluetoothのペアリング情報(Androidのみ) | Android(Pixel等)ではBluetoothペアリング情報が削除される。iPhoneでは原則削除されない(Appleの公式削除対象に含まれず) |
削除されない設定・データ
- 写真・動画・連絡先・カレンダーデータ: 一切削除されない
- アプリと内部データ: 削除されない
- eSIMのプロファイル本体: インストールされたeSIMプロファイルはiPhoneでは保持される。ネットワーク設定のリセットとeSIM削除(「設定」→「モバイル通信」→「プランを削除」)は別の操作であり、ネットワーク設定リセットではeSIMは消えない(ただし手動APN設定は別途再設定が必要な場合がある)
- iCloudや各サービスのログイン状態: 変更されない
- 端末のパスコード・Touch ID・Face ID設定: 変更されない
- 通知・プライバシー・アクセシビリティ設定: 変更されない
- Cellular/モバイル通信の基本設定(データローミングのオン・オフ等): リセット後に初期値に戻ることがある(端末・OSバージョンにより異なる)
リセット前に準備・確認すべきこと
リセット後に必要な情報を収集してから実行すること。
Wi-Fiパスワードのメモ
リセット後にすべてのWi-Fiネットワークへの再接続が必要になる。自宅・職場・よく使う場所のWi-FiパスワードをメモするかiCloudキーチェーンに保存されていることを確認する。
iPhoneでWi-Fiパスワードを確認する方法(iOS 16以降):
- 「設定」→「Wi-Fi」を開く
- 確認したいネットワーク名の右にある「i」アイコンをタップ
- 「パスワード」の欄をタップし、Face ID・Touch ID・パスコードで認証するとパスワードが表示される
Androidでは端末の設定からWi-Fiパスワードを確認できる機能はメーカー・バージョンにより異なるため、事前にルーターの底面や管理画面でパスワードを確認しておくことを推奨する。
MVNOのAPN設定情報のメモ
MVNOの格安SIMを使用している場合、リセット後にAPN設定の再入力が必要になる。以下の情報をメモしておくこと。
- APN名
- ユーザー名・パスワード(MVNOによっては不要)
- 認証タイプ(CHAP または PAP)
iPhoneで構成プロファイル(.mobileconfig)経由でAPN設定をインストールしている場合、プロファイル本体はネットワーク設定リセットでは削除されないため、原則として再インストールは不要だ。手動でAPN情報を入力していた場合は削除されるため、MVNOのダウンロードURLをメモしておくと再インストールしやすい。構成プロファイルのインストール手順は「APN設定の手順(iPhone)」を参照してほしい。
大手MNO(NTTドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)のSIMはリセット後もキャリア設定アップデートで自動設定されることが多く、手動での再設定は原則不要だ。
VPN設定情報のメモ
VPNを使用している場合、サーバーアドレス・ユーザー名・認証情報をメモするかVPNアプリの設定をスクリーンショットで保存しておくこと。企業VPNを使用している場合はIT管理者に設定情報の再取得方法を確認しておく。
Bluetoothペアリングの確認(Androidのみ)
AndroidではBluetoothペアリング情報がリセットで削除されるため、よく使うBluetooth機器(ワイヤレスイヤホン・スマートウォッチ等)の再ペアリング手順を確認しておく。多くの機器は電源オフ・オンかリセットボタンで再ペアリングモードに入れる。iPhoneはネットワーク設定リセットの対象にBluetoothペアリング情報が含まれないため、この手順は不要だ。
iPhoneでのネットワーク設定リセット手順
iOS 15以降の手順
- 「設定」→「一般」を開く
- 一番下付近の「転送またはiPhoneをリセット」をタップ
- 「リセット」をタップ
- 「ネットワーク設定をリセット」をタップ
- iPhoneのパスコードの入力を求められたら入力する
- 確認ダイアログで「ネットワーク設定をリセット」をタップして実行する
- iPhoneが自動的に再起動する
再起動後、Wi-Fiの接続状態がリセットされた状態になる。ステータスバーのWi-Fiアイコンが消えていることで確認できる。BluetoothについてはiPhoneのネットワーク設定リセットでは原則影響を受けないため、既存のペアリングは維持される。
iOS 14以前の手順(参考)
iOS 14以前では手順が若干異なる。
- 「設定」→「一般」→「リセット」をタップ
- 「ネットワーク設定をリセット」をタップ
- パスコードを入力して実行する
リセット後のiPhoneの確認
- Wi-Fiに再接続する: 「設定」→「Wi-Fi」で自宅・職場のWi-Fiを選択し、パスワードを再入力する
- キャリア設定アップデートを確認する: Wi-Fi接続後に「設定」→「一般」→「情報」を開く。「キャリアのアップデートが利用可能です」と表示された場合は「アップデート」をタップする
- MVNOのAPN設定を確認する: 構成プロファイル(.mobileconfig)経由でAPN設定をしていた場合はプロファイルが保持されるため再インストール不要。手動でAPN情報を入力していた場合はキャリア公式サイトから構成プロファイルをSafariでダウンロードし、「設定」→「一般」→「VPNとデバイス管理」からインストールする
- モバイル通信の接続を確認する: ステータスバーにキャリア名と「LTE」「5G」などのデータアイコンが表示されることを確認する
Androidでのネットワーク設定リセット手順
Androidはメーカー・OSバージョンによってメニューの名称や階層が異なる。代表的なメーカー別の手順を以下に示す。
Pixel(Android標準)
- 「設定」→「システム」を開く
- 「リセットオプション」をタップ
- 「Wi-Fi、モバイル、Bluetoothをリセット」をタップ
- 「設定をリセット」をタップして実行する
- PINまたはパスワードを求められた場合は入力する
- 端末が再起動せずにリセットが完了することが多い(Bluetoothのペアリング情報は即時削除される)
Samsung Galaxy
- 「設定」→「一般管理」を開く
- 「リセット」をタップ
- 「ネットワーク設定をリセット」をタップ
- 「設定をリセット」をタップして実行する
- PINを求められた場合は入力する
- 「リセットが完了しました」と表示されたら完了
OPPO / ColorOS
- 「設定」→「追加設定」を開く
- 「バックアップとリセット」をタップ
- 「ネットワーク設定をリセット」をタップ
- 確認画面で「リセット」をタップする
注意: ColorOSのバージョンによりメニューの階層が異なる場合がある。ColorOS 14以降では「設定→接続→ネットワーク設定をリセット」のように変更されていることがある。
Xiaomi / HyperOS(MIUI)
- 「設定」→「接続とシェア」を開く
- 「その他の接続設定」をタップ
- 「ネットワーク設定をリセット」をタップ
- 「リセット」をタップして実行する
注意: MIUI 14以前と現在のHyperOSではメニュー構造が異なる場合がある。MIUI 14以前は「設定→一般設定→バックアップとリセット→設定をリセット」からアクセスできることがある。
リセット後のAndroidの確認
- Wi-Fiに再接続する: 「設定」→「ネットワーク」(またはPixelは「ネットワークとインターネット」)からWi-Fiを選択し、パスワードを再入力する
- APNを再設定する: MVNOを使用している場合は、使用するSIMのAPN設定を手動で再入力する。各MVNOの公式サポートページに記載されているAPN情報を参照すること
- モバイル通信の接続を確認する: ステータスバーのアイコンでLTE・5G接続が表示されることを確認する
- Bluetooth機器を再ペアリングする: AndroidではBluetoothペアリング情報がリセットで削除されるため、よく使う機器を再ペアリングする
リセットで解消されることが多い問題
ネットワーク設定リセットが有効なのは、次のような状況だ。
APN設定の競合・破損
MVNOのSIMに切り替えた後でも旧キャリアのAPN情報が残っていると、データ通信が正常に機能しないことがある。リセットでAPN設定をクリアしてから新しいMVNOの設定を入力し直すことで解消することが多い。
データ通信のみ使えない問題の診断全般は「モバイルデータに繋がらないときの対処法」で詳しく解説している。
VPNプロファイルの残留による通信障害
以前インストールしたVPNプロファイルが通信を妨害していることがある。VPNアプリをアンインストールしてもプロファイルが残る場合があり、ネットワーク設定リセットでプロファイルごと削除することで解消することがある。
ネットワーク自動選択の異常
キャリア変更後や長期間使用後に、端末が誤ったネットワークを参照し続けて圏外になることがある。機内モードのトグルや再起動で解消しない場合、リセットでネットワーク選択の設定がクリアされて正常な自動選択に戻ることがある。
圏外・サービスなし状態の総合的な対処は「「圏外」「サービスなし」の対処法」を参照してほしい。
リセット後のAPN再設定
ネットワーク設定リセット後、大手MNOは自動でAPN設定が適用されるが、MVNOはキャリアによって手動設定が必要だ。
iPhoneのAPN再設定
iPhoneで構成プロファイル(.mobileconfig)経由でAPN設定をインストールしていた場合、ネットワーク設定リセットではプロファイル本体は削除されないため再インストールは原則不要だ。手動でAPN情報を入力していた場合は削除されるため、MVNOが提供する構成プロファイルをSafariでダウンロードして再インストールする。
大手MNO(NTTドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)とサブブランド(povo・UQモバイル・ワイモバイル・LINEMO)は、Wi-Fi接続後に「設定」→「一般」→「情報」を開くと「キャリアのアップデートが利用可能です」と表示されることがあり、これをインストールするだけでAPN設定が自動適用される。
MVNOの構成プロファイルのインストール手順の詳細は「APN設定の手順(iPhone)」を参照してほしい。
AndroidのAPN手動再設定
Androidのネットワーク設定リセット後は、MVNOのSIMを使用している場合にAPN設定を手動で再入力する必要がある。
Pixel系:
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「インターネット」→使用するSIM横の歯車アイコン
- 「アクセスポイント名」→「+」で新規追加または既存エントリを編集する
- APN名・ユーザー名・パスワード・認証タイプを使用するMVNOの指定値で入力する
Samsung系:
- 「設定」→「接続」→「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント名」
- 「+」または「追加」で新規APN作成画面を開く
- 各項目を入力して「保存」する
APN設定情報は必ず使用するMVNO・キャリアの公式サポートページで確認すること。
旅行eSIMの再設定
旅行eSIMを使用中にネットワーク設定をリセットした場合、eSIMプロファイル本体はiPhoneでは保持される(ネットワーク設定リセットとeSIM削除は別の操作)。手動でAPN設定を行っていた場合はリセットで削除されるが、旅行eSIMの多くは構成プロファイル経由で設定されるため再設定が不要な場合も多い。旅行eSIMプロバイダーのサポートページで確認し、必要であれば手順に従って再設定すること。
旅行eSIMの問題全般は「eSIMが設定できないときの対処法」も参照してほしい。
リセットで解消しない場合の次の手順
ネットワーク設定リセット後も症状が改善しない場合、問題の原因はネットワーク設定の蓄積ではない可能性がある。
通信速度の問題
リセットを行っても通信速度が極端に遅い場合は、速度制限(データ上限超過)やMVNOの混雑が原因のことが多い。「通信速度が極端に遅い場合の対処法」で診断手順を確認してほしい。
SIMカードや端末のハードウェア問題
同じSIMを別の端末に挿入して動作確認を行うことで、問題が端末側にあるかSIM側にあるかを切り分けることができる。別端末で正常に動作する場合は端末のハードウェア(アンテナ・通信モジュール)の異常が疑われる。
キャリアへの問い合わせ
以下の情報を用意してキャリアのサポートに連絡することで、キャリア側での原因特定が可能になる。
- 端末の機種名とOSバージョン
- SIMカードのICCID(iPhoneは「設定」→「一般」→「情報」→「ICCID」で確認可能)
- 問題が発生する場所・時間帯
- すでに試した対処手順のリスト
ネットワーク設定リセットを実施するタイミングの目安
ネットワーク設定のリセットは毎回の対処として行うものではない。以下の条件がすべて揃ったときに実施を検討する。
- 圏外・データ不通・接続不安定の症状がある
- 機内モードのトグル・端末の再起動・ネットワーク自動選択の確認をすでに試してもなお改善しない
- APN設定の再入力やキャリア設定アップデートでも解消しない
- SIMカードの問題(SIMロック・ICCIDのキャリア認証失敗)の可能性が排除されている
この4つを確認した上で、他の手段で解消しない場合の手段として実施する。
よくある質問
ネットワーク設定をリセットすると写真やアプリのデータは消えますか?
消えない。ネットワーク設定のリセットで削除されるのは、Wi-Fiの保存済みパスワード、VPN設定、手動APN設定などだ。写真・連絡先・アプリ・アプリ内データは一切削除されない。Bluetoothのペアリング情報については端末・OSにより挙動が異なり、iPhoneでは原則削除されないが、Android(Pixel等)では削除される。
eSIMのプロファイルはリセットで消えますか?
消えない。ネットワーク設定のリセットとeSIMプロファイルの削除は別の操作であり、iPhoneのネットワーク設定リセットではeSIMプロファイル本体は保持される。手動で設定したAPN情報はリセットされるが、構成プロファイル(.mobileconfig)経由でインストールしたAPN設定はプロファイル本体が残るため再設定は不要だ。
どんなときにネットワーク設定のリセットをすべきですか?
(1)機内モードのトグルや再起動で回復しない圏外・通信不可、(2)MVNOのAPN設定を何度やり直しても繋がらない、(3)特定のWi-FiやVPNの設定が原因で通信に問題が起きているといった状況で、他の手順で解決しない場合の手段だ。日常的に行う操作ではない。
リセット後にWi-Fiパスワードを再入力せずに済む方法はありますか?
iPhoneはiCloudキーチェーンを使用していれば、同じApple IDでサインインしているデバイス間でWi-Fiパスワードが同期されているため、リセット後も再接続時に自動入力候補が表示される場合がある。Androidは端末でのパスワード保存なので、リセット前にWi-Fiパスワードを別の方法(メモ・スクリーンショット等)で控えておくことを推奨する。
Androidのメーカーによってリセットのメニューはどこにありますか?
Pixelは「設定→システム→リセットオプション→Wi-Fi、モバイル、Bluetoothをリセット」、Samsungは「設定→一般管理→リセット→ネットワーク設定をリセット」、OPPOはColorOSのバージョンにより異なるが多くは「設定→追加設定→バックアップとリセット→ネットワーク設定をリセット」、Xiaomiは旧MIUI14以前と現HyperOSでパスが変わっており多くは「設定→接続とシェア→その他の接続設定→ネットワーク設定をリセット」だ。OSバージョンアップにより手順が変わる場合があるため、公式サポートページも参照すること。
関連ガイド
- 「圏外」「サービスなし」の対処法 — 圏外・ネットワーク未検出時の総合診断手順(FX-01)
- モバイルデータに繋がらないときの対処法 — 電波はあるのにデータ通信のみ不通な場合の対処(FX-02)
- APN設定の手順(iPhone) — 構成プロファイルのインストールと手動APN設定(DS-03)
- 通信速度が極端に遅い場合の対処法 — 速度制限・混雑・バンド問題の診断(FX-03)
- eSIMが設定できないときの対処法 — eSIMのインストール・アクティベーション失敗の対処(FE-01)
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